サインとしての看板


サインフロー

一般に英語のサイン(sign)は目的に対して付けられる「しるし」を指します。道路標識や建物のインフォメーション等がサインとなる訳です。
日本では微妙にニュアンスが違い看板の意味が強いようです。
多くの方がサインと聞くと良く理解している様に思われている様ですが、色々な要素と混同してあやふやな概念をお持ちのようです。
そのためサインとチラシやポスターの違いが理解出来ていない方が多いのも事実なのです。ではサインの計画の仕方について説明してみましょう。

実際にサインを設置する際に必要な事がいくつかあります。第一にすべての人が簡単に理解出来るようにシンプルで見やすい事です。表示する内容には危険表示や避難誘導も含まれている為にお年寄りから子供まで、また表示する環境によっては海外の方まで利用者を想定して計画されます。
次に設置に際しての条件ですが、屋外を含めた劣悪な環境を考慮しなければなりません。海岸近隣の塩害など予想もしない事に対応する必要がでてきます。サインの設置方法も利用者の視点に立って安全を考慮して計画されます。最後に環境江斧調和が必要です。サイン計画にはこれらすべてが求められるのです。

サイン計画の流れ

施設環境の調査
自然環境や周囲の施設との導線を考慮
伝達内容の分類と対象者の確定
高齢者や子供などの利用者への伝達内容を考慮
文章を決定して書体を選定する
利用者に合わせた文体や書体の選定
ピクトサイン等の構成要素をまとめる
必要な絵文字の種類と大きさを設定
構成要素とサイズでグリッドを設定
最大文字数や文字の最小認識サイズを考慮
基本グリッドで各種サインを構成する
グリッド構成要素をレイアウト
機能に合った配色を決定する
周囲の環境や用途に合わせては移植を選定
配色や細部の修正とシミュレーション
視認性の確認や不具合の修正

※最後が修正とシミュレーションになっていますが、これで最終ではありません。計画の段階では何度でも現場の調査に戻ります。
サインフローは部分的でも施工後の変更は難しいためです。

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ピクトグラム

サインの多くはピクトグラム(絵文字)と文字で構成されています。
ピクトグラムはピクトサインとして数多く存在しますが、それぞれ簡単明瞭に視認性を優先してデザインされています。その補足として文字や記号が一緒に使用されます。

注意したいのは、デザイナーを含めた設置を計画する側の一方的な支店でデザインされたサインを使用してはいけないということです。
形をデフォルメ(歪形)し過ぎて抽象的になっている物や部分的にトリミング(切り抜き)して遠くから理解不可能な物もあります。
私達はこの事に気を付けなくてはなりません。本来の目的はすべての利用者に対して認識できることですから、シンプルにデザインされるべきなのです。

ピクトサインは国籍の違う人種で構成される国際的な都市で発達しました。文字を読めない事を前提とぢていますから子供から老人まで理解できるシンボリックでシンプルなデザインとして設計されています。
都市計画の一部ですから、設置に関しては詳細にわたって規定のあるマニュアルがあります。ヨーロッパのサインは特に発達していて、イギリスの地下鉄「UNDER GROUND」のサインはアートとしても評価され販売されている程です。

ピクトグラム(絵文字)

シンプルにデザインするのが基本です。簡単明瞭なサインが求められます。

サイン1サイン2サイン3サイン4サイン5サイン6

サイン7サイン8サイン9サイン10サイン11サイン12

デフォルメ(歪形)

文字以上に認識が容易なピクトグラムですが、モチーフをデフォルメする際には注意が必要です。

デフォルメ1デフォルメ2デフォルメ3

※ピクトサインは多様にデザインできますが、デフォルメの仕方によっては問題が出て来ます。右の2つはデフォルメし過ぎたり、細かくてサインとしては不向きです。

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可視寸法

サイン計画において優先すべきは視認性です。そこで問題になってくるのが、文字の大きさと視距離の設定です。特に高齢者や弱視者の配慮した文字の大きさに注意しなければなりません。

使用する文字に関して注意したいのは読みやすいゴシック系の書体で、文字の大きさの揃った書体を選定する事です。また文字のウエイト(太さ)にも気をつけて下さい。細い文字や逆に極端に太い文字は不明瞭でサインに適しません。
書体を選定する際に「数字」「漢字」「仮名文字」「英文字」をセットで選びます。組合わせのバランスを調整する為です。
書体によっては仮名文字が極端に小さい物や数字が半角で普通の文字の半分のサイズの物もあります。ローマ字表記の併用もありますので英文字も選びます。
アルファベットは基本的な構造が日本の文字と違いますので注意が必要です。
書体はこれらに配慮して作られた新しい書体の方が使いやすいと思います。新ゴシックや平成角ゴシックといった新しい書体は、欧文書体とのマッチングが良くゴシック系の「フーツラ」「フルティガー」等と使用されています。
また明朝系の書体は長い文章を読んでもらう時には最適です。ただしタテヨコの太さの違いが極端な書体は視認性が悪くなります。

可視寸法に基づく比率

可視寸法に基づく比率

基準である和文をαとするとオ分野ピクトグラムの寸法はそれぞれ上記の比率に設定すると認識が容易になります。

視距離と大きさの関係

視距離 和文文字の高さ 欧文文字の高さ ピクトグラム
30m 120mm以上 90mm以上 480mm以上
20m 80mm以上 60mm以上 360mm以上
10m 40mm以上 30mm以上 240mm以上
4m 20mm以上 15mm以上 120mm以上
1m 9mm以上 7mm以上 35mm以上

※サインから人までの距離で、最低限必要とされる寸法です。

サインに適した書体

新ゴM:トータルバランスが非常に良く使い易いフォントです。

新ゴM

フルティンガー ローマン:ヨーロッパのサインデザインで良く使用されている書体です。飛び出しが少ないのが特徴。

フルティンガー ローマン

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サイン形状

サイン計画の重要な要素に基本グリッドの設定を含めたサイン形状を考慮する必要があります。文字やピクトグラムといったすべての要素を含んだ構成を設定する際には最大文字数や設置する版面のサイズを前もって確認する必要があります。

文字やピクトグラムの可視寸法と設置するサインの形状と視距離はそれぞれ連動しており、版面が小さな場合は内容を削除する必要がありますし、現場では環境の変化にともない文字の変更や情報の追加等が必ず発生しますので注意して下さい。

和文と欧文を同時に表記する場合は1つのユニットとして、その集合体で全体が形成されると考えると理解しやすいかも知れません。その際はピクトグラムもユニットに含んで構いません。そのように構成されたユニットを組み合わせて、必要なグリッドを完成させます。さらに各ユニットの機能にあわせて配色を変える事もできます。

情報の重要性に応じて文字のサイズは大きくなりますが、版面のサイズでそれぞれ文字の大きさの割合を調整します。大きな版面の場合は和文露負う分の比率は2:1程度ですが、版面が小さくなると欧文が小さくなり過ぎて読み難くなります。上のデザインはそのことに考慮して比率を3:2にしています。

基本グリッド

基本グリッド

※タテ組かヨコ組かを考慮して基本グリッドを設定します。

※デザインの良し悪しはここで決まりますので、最大文字数や構成要素の確認などを確実に把握して設定して下さい。

ユニット

ユニット

※最小のユニット(単位)を設定して、そのユニットを組合せてサインシステムを構築していく方法もあります。

清潔感がある配色
清潔感がある配色
健康的な配色
健康的な配色

※要素が同じものでも、配色によってイメージが異なってきます。

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客導線の分析

導線の把握

公共施設やテナントの通路をはじめ、店舗内の通路などは客導線を分析する事が必要とされています。

各施設の利用者をスムーズに誘導し、混乱を回避するためには必要な事項なのです。
特に店舗内では商品陳列を含め売上げに関わる重要な要素となっています。
主に導線には施設に入る時と出る時の2つの方向があります。それぞれ利用者をサインでスムーズに誘導するためには綿密な計画を立てなくてはなりません。
そのためには環境を把握する必要があります。

まず、その施設の立地条件を分析します。
都心か郊外であるかで路面の人の流れが変わります。特に郊外の公共施設では祝祭日は人の流れが増えますので、現地調査では平日だけでなく再度祝祭日にも調査する必要があります。
また施設の通路の構造を把握しなくてはなりません。
テナントであればエレベーターやエスカレーターの位置や方向は重要な要素となります。そして店舗の場合はレジや試着室など多くのキーポイントがありますのでチェックリストを用意して分析して下さい。それらの要素と出入り口をつないだ線で誘導するために何種類かのサインを配置していくのです。その流れの表をフローチャートにしてサインフローを完成して下さい。

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サイン配置

サインは重要な情報を提示するものですので設置に際しては注意が必要です。
どのような対象者がその位置から見るかを考慮しなくてはなりませんし、設置環境によっては対象者が接触して危険が発生したり風雨や紫外線、海岸近くでは塩害などで退色する恐れもあります。それらに強い素材を使用する事はもちろんですが、表示目的に合った設置がされているかどうかが一番の問題です。

多くの場合は人間工学に基づいた設計をします。
対象者とサインを同じ縮尺で表示して、それぞれのサイズや設置する高さを設定していく方法です。
この対象者は目的によって子供であったり車椅子に乗られている方であったりと変更されます。逆に多様な対象者をターゲットにする場合はそのすべてに合わせた設計になりますので設置に注意が必要になってきます。

この様なサインの配置手法もやはりヨーロッパで発達しました。
いわばヨーロッパはサイン先進国といった感じです。特にスイスでは歴史的な背景からいくつもの言語が日常的に共有されており、公共施設を含めて人の集まる場所ではサインを整理する必要があったのだと思われます。
また、欧米諸国ではハンディキャップを持つ人と社会との関わりも日本より成熟している様に感じられます。

遠方の認識力|近い距離での通常視野

遠方の認識力|近い距離での通常視野

※遠方視野は仰角10度から下の範囲とされています。車椅子に乗られている方や子供など視野が低い場合は司会に入らないことも考えられます。

※通常視野は上に30度から下は40度までとされています。視距離がない場合や対象者が多いと設置範囲が限られてしまいます。